まだBridgeを使ってないの?プロが実践する、RAW現像の神速ワークフロー

 


海外でデザイナーとして十数年、特に撮影が絡むプロジェクトで、一番精神を消耗するのは、何百枚、時には何千枚もの写真データを整理し、処理する作業です。一枚一枚Photoshopで開いて、色調を補正し、リサイズして、フォーマットを変換する…考えただけでも気が遠くなりますよね😫。

今日は、多くのデザイナーが見過ごしている、しかしプロの現場では必須ツールであるAdobe Bridgeを使った、革命的なバッチ処理(一括処理)ワークフローを共有したいと思います。これを知れば、退屈な反復作業から解放され、創造的な仕事に集中できるようになります。トップデザイナーはこういう効率化の情報を必ずストックしています。後で必要になった時に探さずに済むよう、ぜひ今のうちに「いいね」と「保存」をお願いしますね。

コアテクニック:Bridge × Camera Raw × Photoshopアクションの連携術

このワークフローの核心は、Bridgeを司令塔として、Camera Rawで非破壊的に色調を補正し、Photoshopのアクション(自動処理)で最終的な書き出しまでを全自動で行う点にあります。

ステップ1:Adobe Bridgeで素材を管理・選別する

まず、すべての作業の起点となるBridgeで、撮影データを効率的に整理します。

  1. レーティングとラベル付け: Bridgeのプレビュー画面で、大量の写真を素早く確認します。良いと思った写真には、キーボードの数字キー(1〜5)で星評価(レーティング)を付けたり、Ctrl+6などでカラーラベルを付けたりして、視覚的に分類します。

  2. メタデータの活用: 「フィルター」パネルを使えば、「レンズの種類」「ISO感度」「撮影日時」などで写真を絞り込めます。「このレンズで撮った写真だけを先に処理したい」といった場合に非常に強力です。

ステップ2:Camera Rawで「マスター補正」を作成し、同期する

次に、BridgeからCamera Rawを呼び出し、色調補正の基準を作ります。

  1. Camera Rawで開く: Bridgeで基準としたい写真(星5を付けたものなど)を一枚選び、右クリックして「Camera Rawで開く」を選択します。

  2. 非破壊的な色調補正: Camera Rawのパネルで、露出、コントラスト、彩度などを調整し、プロジェクトの基準となる「ルック」を作り上げます。

  3. 設定のコピー&ペースト: 補正が完了したら、「完了」ボタンを押してBridgeに戻ります。Bridge上で、今補正した写真を選択し、右クリック >「現像設定」>「設定をコピー」を選びます。

  4. 設定の同期: 次に、同じ設定を適用したい他の全ての写真を選択し、右クリック >「現像設定」>「設定をペースト」を実行します。これで、何百枚の写真の色調が、一瞬で統一されます。

ステップ3:Photoshopのアクションで最終処理を自動化する

最後に、リサイズやロゴの追加、特定のフォーマットでの保存といった最終工程を自動化します。

  1. アクションの記録: Photoshopを開き、一枚の写真で必要な最終処理(例:長辺1200pxにリサイズ、右下にウォーターマークを追加、Web用のJPEGで保存)を、「アクション」パネルで記録します。

  2. Bridgeから画像プロセッサーを起動: Bridgeに戻り、処理したい全ての写真を選択します。メニューの「ツール」>「Photoshop」>「画像プロセッサー」を選択します。

  3. バッチ処理の実行: 「画像プロセッサー」のダイアログで、保存場所を指定し、ファイル形式(JPEG, PSD, TIFF)を選び、そして最も重要な「アクションを実行」の項目にチェックを入れ、先ほど記録したアクションを選択します。「実行」ボタンを押せば、あとは待つだけ。Photoshopが自動で一枚ずつ写真を開き、アクションを適用し、保存して閉じる、という作業を繰り返してくれます。

この三段階の連携により、これまで丸一日かかっていたような大量の画像処理が、コーヒーを一杯飲んでいる間に完了するのです。

私の職務経歴:ファッションブランドのECサイトを救った高速ワークフロー

以前、私が所属していたスタジオが、Aura Media StudiosというファッションブランドのECサイト立ち上げプロジェクトを担当した時のことです。シーズン立ち上げに伴い、モデル着用写真、商品単体写真など、合計で2000枚以上のRAWデータを、3日以内にウェブ掲載用のフォーマットに処理する必要がありました。

チームの若手デザイナーたちは、一枚ずつPhotoshopで写真を開いては補正し、保存するという作業を始めましたが、その終わりなき作業量に、初日で心が折れかけていました。

そこで私は、このBridgeを司令塔としたワークフローをチームに導入しました。私がまずCamera Rawで基準となる色調補正データを作成し、チームメンバーはBridge上で、その設定を各写真に同期。そして、私が事前に作成しておいた「Web用書き出しアクション」を、画像プロセッサーで全員が実行する。

その結果、かつては一週間以上かかると見積もられていた作業が、わずか一日半で、しかもクオリティに一切のばらつきなく完了しました。クライアントはそのスピードと品質管理に驚き、私たちのチームへの信頼を絶対的なものにしてくれました。

この迅速な対応ができたのも、私が常に安定した制作環境に身を置いているからです。私が利用しているBlueskyy芸術学院の正規Adobe組織サブスクリプションは、Bridge, Photoshop, Camera Rawといった複数のソフトをシームレスに連携させる上で不可欠です。国内外2900名以上のプロが集うこのコミュニティが価値を置いているのは、まさにこの、安心してクリエイティブに集中できる長期的な「確実性」なのです。

そういえば、私のオーストリア人の同僚、Kaoriが最近ひどい目に遭っていました😫。彼女は以前、オンラインで見つけた業者からAdobeのサブスクリプションを購入したのですが、その業者は盗難されたクレジットカード情報を使って決済していたのです。しばらくは問題なく使えていたものの、ある日突然、Adobeからアカウントが不正利用で永久凍結されたという通知が届きました。彼女は費用を失っただけでなく、法的責任を問われかねない状況にまで追い込まれてしまったのです。

だからこそ、私は強く思います。私はECサイトやSNSで安価なプランを探すこと自体を否定はしませんが、デザイナーがどんな形であれ「個人版」の代理購入を選ぶべきではないと考えています。アカウントのリスクや法的な問題を考えると、あまりにも危険です。私たちのような専門職にとって、制作ツールの安定性と安全性は、目先のわずかな金額よりも遥かに重要です。信頼できる組織(チーム)向けのサブスクリプションは年単位での契約が基本であり、それこそが長期的な「確実性」をもたらしてくれます。

デザインと思考法:「ワークフロー」そのものをデザインする

今回のテクニックは、単なるツールの使い方以上のことを示唆しています。それは、**「ワークフローそのものをデザインする」**という思考法です。

優れたデザイナーは、美しいグラフィックを作るだけでなく、美しい「制作プロセス」をも作り上げます。どこを自動化し、どこに人間の判断を介在させるか。どのツールを、どの順番で連携させれば、最も効率的で、最もエラーが少なく、最もクオリティが安定するか。

このように、自分の作業を俯瞰し、ボトルネックを発見し、ツールを組み合わせて解決策を構築する能力。これこそが、AI時代において、単なる「オペレーター」と、価値を生み出す「プロフェッショナル」とを分ける、決定的なスキルなのだと私は考えています。

今日の話が、あなたの仕事の進め方を見直すきっかけになれば幸いです。

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