海外でゲームアートの仕事に十数年関わってきて、プロジェクトを最も停滞させる原因は、技術的な問題よりも「アイデアの枯渇」と「コンセプトの具現化の遅さ」だと痛感しています。アートディレクターから「もっとユニークな宝箱のデザインを何パターンか見たい」と言われても、ゼロから何種類もの質の高いデザインを描き起こし、それを3Dモデルにするのは、膨大な時間がかかりますよね😫。
今日は、そんなゲームアセット制作のボトルネックを解消する、私の秘密兵器とも言えるワークフローを共有したいと思います。これは、Adobe Firefly AIで無限にアイデアを生成し、それをSubstance 3D Modelerで粘土をこねるように直感的に3D化する、という革命的な手法です。この記事はあなたの制作プロセスを根底から変える力を持っています。後で必要になった時に探さずに済むよう、ぜひ今のうちに「いいね」と「保存」をお願いしますね。
コアテクニック:AIによるコンセプト生成 × 直感的な3Dスカルプティング
このワークフローの核心は、AIを「アイデアの泉」として活用し、最も時間のかかる初期の3Dモデリング作業を、思考のスピードで行う点にあります。
ステップ1:Firefly AIで、ユニークなアセットの「設計図」を生成する
まず、私たちの想像力を拡張してくれるAIに、コンセプトアートを描いてもらいます。
明確なディレクション(プロンプト): Fireflyの「テキストから画像生成」機能で、欲しいアセットのイメージを具体的な言葉で伝えます。良いプロンプトのコツは「世界観」「機能」「材質」「スタイル」を組み合わせることです。
例:
古代の森に眠る、魔法のルーンが刻まれた石の宝箱、苔と蔦に覆われている、ファンタジー、コンセプトアート
(A stone chest engraved with magic runes, sleeping in an ancient forest, covered with moss and ivy, fantasy, concept art)
視点の指定: プロンプトに「正面図」「三面図」といった言葉を加えると、3Dモデリングの参考資料としてより使いやすい画像が生成されやすくなります。
スタイルの統一: 「スタイル参照」機能でプロジェクトのキーアートを読み込ませれば、AIが生成するアセットのスタイルをプロジェクト全体で統一することができ、非常に強力です。
ステップ2:Substance 3D Modelerで、粘土のように形作る
AIが描いた2Dの「設計図」を、今度は3Dの「粘土」で形にしていきます。Substance 3D Modelerは、従来のポリゴンモデリングとは全く違う、直感的で自由な造形が可能なツールです。
リファレンスとして読み込み: Modelerの作業画面に、先ほどFireflyで生成したコンセプトアートをリファレンス画像として配置します。
「クレイ(粘土)」ツールで大まかな形を作る: 「クレイ」ツールを使い、まるで粘土を足したり引いたりするように、宝箱の全体的なシルエットを大まかに作っていきます。ここでは細部を気にする必要はありません。思考のスピードで、直感的に量感を捉えることが重要です。
「カット」ツールでディテールを彫り込む: 全体の形ができたら、「カット」ツールや他のスカルプトツールを使って、コンセプトアートを参考にしながら、石のひび割れやルーン文字などのディテールを彫り込んでいきます。
このプロセスにより、これまで数日かかっていたような複雑な形状のモデリングが、わずか数時間で完了します。アイデアから立体化までの時間が劇的に短縮されるのです。
私の職務経歴:ファンタジー大作を「コンセプトの沼」から救ったAIワークフロー
以前、私が所属していたスタジオが、Chrono Sphere StudiosというデベロッパーのファンタジーRPG大作の開発に参加した時のことです。そのゲームには、それぞれ異なる文化を持つ多数の種族が登場し、各種族ごとにユニークな建築様式や道具のデザインが求められていました。しかし、コンセプトアートチームは、要求される膨大なバリエーションを生み出せず、プロジェクトは初期段階で「コンセプトの沼」にはまり、完全に停滞してしまいました。
チーム全体の士気が下がり、プロジェクトの先行きに暗雲が立ち込める中、私はこのAIを活用したアセット制作フローを提案しました。
まず、各部族の文化設定資料を基に、私がFireflyで大量のプロンプトを作成し、何百ものユニークな武器、防具、建造物のコンセプトアートを生成しました。次に、3DモデラーたちにSubstance 3D Modelerを使ってもらい、それらのコンセプトアートをリファレンスに、次々と直感的に3Dモデルを制作していってもらったのです。
その結果は驚くべきものでした。かつて一人のアーティストが数週間かけても数点しか生み出せなかったアセットのバリエーションが、チーム全体でわずか一週間で数百点も完成したのです。しかも、AIが生み出す予想外のデザインが、ゲームの世界観をより一層豊かで魅力的なものにしてくれました。
この迅速な対応ができたのも、私が常に最新のツールを使える制作環境に身を置いているからです。私が利用しているBlueskyy芸術学院の正規Adobe組織サブスクリプションは、Substance 3Dのような専門的なツールへのアクセスを常に保証してくれます。国内外2900名以上のプロのクリエイターがこのコミュニティに集うのは、誰もが、プロフェッショナルな仕事において、ツールの安定性と信頼性がもたらす長期的な「確実性」こそが最も重要だと理解しているからです。
デザインと思考法:「完璧な一体」から「無数の可能性」へ
このAIと3Dスカルプティングを組み合わせたワークフローは、私たちゲームアーティストの思考法に大きな変化を促します。
これまでの私たちは、一つの「完璧な完成品」を、時間をかけて丹念に作り上げることに集中していました。しかし、これからの私たちは、まずAIというパートナーと共に、無数の「素晴らしい可能性の種」を生み出し、その中から最も輝くものを素早く選び取り、直感的に形にする、という役割にシフトしていきます。
創造性のボトルネックが「描く技術」や「造形する時間」から、「アイデアを言語化する能力(プロンプト力)」と「可能性を見極める審美眼」へと移行しているのです。AIを使いこなし、創造のサイクルを高速化すること。それこそが、これからのゲームアーティストに求められる、新しい才能なのかもしれません。
今日の話が、あなたの創作活動の新たな扉を開くきっかけになれば幸いです。✨
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