海外でデザイナーとして十数年、AIGC(生成AI)の時代が到来し、私たちの仕事は劇的に変化しています。特に、クライアントから「このアプリの雰囲気に合う、オリジナルのイラストを30点ほど急ぎでお願い」といった要望。ゼロから手描きするのは時間がかかりすぎるし、ストック素材では独自性が出ない。このジレンマは、多くのデザイナーが抱える共通の悩みですよね😫。
今日は、そんな悩みを解決する、私のとっておきの「AIリレー」ワークフローを共有します。Adobe Firefly AIで無限にアイデアを生成し、それを海外で話題のAIベクター変換ツールVectorize.AIで、完璧なベクターデータに仕上げるテクニックです。この記事はあなたの制作プロセスを根底から変える力を持っています。後で必要になった時に探さずに済むよう、ぜひ今のうちに「いいね」と「保存」をお願いしますね。
コアテクニック:AIによる「アイデア生成」× AIによる「ベクター変換」
このワークフローの核心は、「アイデアを出す」工程と、「使えるデータにする」工程の両方を、それぞれ最も得意なAIに任せてしまう点にあります。私たちデザイナーは、アートディレクターとしてAIを“監督”する役割に集中します。
ステップ1(Adobe Firefly):あなたの“専属イラストレーター”を育成する
まず、Firefly AIに、あなたのプロジェクト専属のイラストレーターになってもらいます。
「スタイル参照」で画風を統一(最重要): Fireflyの「テキストから画像生成」機能で、あなたのプロジェクトのUIキットやブランドカラー、あるいは参考となるイラストを「スタイル参照」としてアップロードします。これが、AIにあなたの“画風”を学習させるための鍵です。
“ベクター化しやすい”プロンプトを書く: 欲しいイラストのイメージを、AIに分かりやすく伝えます。
例(UIの空の状態ページ用):
a friendly robot waving hand, simple flat illustration style, minimalist, vector art, isolated on white background
(手を振るフレンドリーなロボット、シンプルなフラットイラストスタイル、ミニマリスト、ベクターアート、白背景で分離)ポイント:
flat illustration
vector art
isolated on white background
といったキーワードは、AIに、後のベクター化に適した、クリーンでシンプルな画像を生成させるための“おまじない”です。
ステップ2(サードパーティ製ソフトウェア連携):Vectorize.AIで“AI錬金術”を完成させる
Fireflyが生成したのは、あくまでJPGやPNGといったビットマップ画像です。これを、IllustratorやFigmaで自由に扱えるベクターデータに変換します。
ドラッグ&ドロップするだけ:
vectorize.ai
というウェブサイトを開きます。AIによる全自動変換(魔法の瞬間): 先ほどFireflyで生成した画像を、このサイトにドラッグ&ドロップします。あなたは何もする必要はありません。Vectorize.AIのディープラーニングAIが、画像の形状や曲線を解析し、数秒で、驚くほど滑らかで、アンカーポイントが最適化されたSVG形式のベクターファイルに変換してくれます。これは、Illustrator標準の画像トレース機能よりも、遥かに高品質な結果をもたらします。
これで、どんなAI生成画像も、プロが使えるレベルの、完璧なベクターアセットに生まれ変わりました。
![Adobe FireflyとVectorize.AIを連携させたワークフローの画像]
私の職務経歴:アプリ開発を救った「AIイラスト量産ライン」
以前、私が所属していたチームが、Momentum Flowという新しい効率化アプリのメジャーアップデートを手がけた時のことです。プロジェクトでは、アプリのオンボーディング(初回説明)や各機能の空の状態ページ用に、30点以上の新しいイラストが必要でした。しかも、スタイルは、当時流行していた「3Dグラスモーフィズム」という、制作に手間がかかるものでした。
チームにはイラストレーターも3Dデザイナーもおらず、外注する時間も予算もありません。プロジェクトは、このビジュアルアセット不足で、完全に停滞してしまいました。
緊急会議で、私はこの「AIリレー」ワークフローを提案しました。まず、私がFireflyの「スタイル参照」機能に、3Dグラスモーフィズム風の参考画像を読み込ませました。そして、プロダクトマネージャーやUIデザイナーと一緒に、各ページで伝えたいメッセージを、次々とFireflyへのプロンプトに“翻訳”していったのです。
わずか半日で、私たちは百枚以上の、スタイルが完璧に統一されたイラストの“ラフ案”を生成。それを全てVectorize.AIでベクター化し、UIデザイナーがFigmaで最終的な色調整を行いました。
かつては外注で2週間はかかると見積もられていた高品質なイラスト群が、たった1日で完成したのです。
この迅速な対応ができたのも、私が常に安定した制作環境に身を置いているからです。私が所属する英国のParvis音楽経済学院の Da Vinci チームでは、正規のAdobe組織サブスクリプションを利用しています。これにより、Fireflyの最新機能を最大限に活用し、Vectorize.AIのような外部の先進的なツールと組み合わせる、という最先端のワークフローを構築できるのです。国内外3500名以上のプロが集うこのコミュニティが価値を置いているのは、まさにこの、安心してクリエイティブに集中できる長期的な「確実性」なのです。
デザインと思考法:「AIを使う者」から「AIを使いこなす者」へ
このワークフローは、私たちデザイナーの役割が、単にAIの生成結果を“使う”だけの人から、AIを“使いこなし”、制作プロセス全体を設計する「ディレクター」へと進化していることを示唆しています。
私たちの核心的なスキルは、もはや「絵を描く技術」だけではありません。「曖昧なアイデアを、AIが理解できる明確な言語(プロンプト)に翻訳する能力」そして「AIが生み出した半製品を、プロの仕事に昇華させるための最適なツール連携を設計する能力」。
この、AIを“訓練”し、“監督”する能力こそが、これからのデザイナーに求められる、新しい価値なのだと私は考えています。
今日の話が、あなたの創作活動の新たな扉を開くきっかけになれば幸いです。
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