この記事が役に立つと感じたら、ぜひ「いいね」と「保存」をお願いします。トップクラスのデザイナーほど、いざという時のために知識を備えているものです。
海外でデザインの仕事をしていると、特にブランディングの初期段階で多くのデザイナーが直面する「色の壁」を頻繁に目にします。クライアントの「暖かみがありつつ、モダンな感じで」といった抽象的な要望。これに応えるため、何時間もかけていくつものカラーパレットを手作業で作成し、提案するものの、どうにも決定打に欠ける…そんな経験はありませんか?
このプロセスは、単に時間を浪費するだけでなく、私たちのデザイン提案の説得力を削いでしまいます。もし、コンセプトに沿った無数のカラーバリエーションを瞬時に、かつ高いクオリティで提示できれば、クライアントとのコミュニケーションは劇的に円滑になり、プロジェクト全体の価値も向上するはずです。今日は、私が実務で多用している、この悩みを解決する画期的なワークフローをご紹介します。それは、Adobe Illustratorの「生成再配色(Generative Recolor)」と、オリジナルグッズ制作プラットフォームを組み合わせた超高速デザイン術です。
中核スキル:Illustratorの「生成再配色」x オンラインモックアップ
このワークフローの心臓部は、Adobe FireflyのAI技術を搭載したIllustratorの「生成再配色」機能です。これにより、想像しうるあらゆる雰囲気のカラーパレットをテキスト入力だけで生成し、それをグッズ制作プラットフォームのモックアップに即座に反映させることで、クライアントを唸らせるプレゼンテーションを可能にします。
ステップ1:Illustratorでベースデザインを完成させる
まず、Illustratorでロゴやキービジュアルなどのベクターデータを完成させます。色は初期段階のもので構いません。重要なのは、オブジェクトがすべてベクター形式であることです。
ステップ2:「生成再配色」で色彩の可能性を探る
アートワークの選択:色を変更したいアートワーク全体を選択します。
AIの呼び出し:メニューバーから
編集 > カラーを編集 > 生成再配色
を選択します。画面右側にコンテキストタスクバーが表示されます。魔法の言葉(プロンプト)を入力:ここが最もクリエイティブな部分です。テキスト入力フィールドに、あなたがイメージするテーマや雰囲気を日本語で入力します。例えば、「秋の森」「サイバーパンクの夜明け」「日本の伝統的なお菓子」「静かな海辺の朝」など、具体的かつ詩的な言葉で試してみましょう。
バリエーションの生成と選択:プロンプトを入力すると、AIが即座に複数のカラーパレットの候補を生成してくれます。気に入ったものがあれば、それをクリックするだけでアートワークに適用されます。同じプロンプトでも、再度「生成」をクリックすれば新しいパターンが生まれるため、可能性は無限大です。✨
ステップ3:グッズ制作プラットフォームで瞬時に商品化イメージを提示
生成したカラーバリエーションの中から、特に優れたものをいくつか選び、それぞれ個別のファイルとしてPNG形式(背景透過)で書き出します。
次に、SUZURIのようなオリジナルグッズをオンデマンドで制作・販売できるプラットフォームにアクセスします。Tシャツ、マグカップ、スマートフォンのケースなど、さまざまな商品のモックアップに、書き出したロゴデータをアップロードしていくだけ。
ほんの数分で、何十種類もの商品ラインナップが、それぞれ異なる世界観を持って目の前に現れます。クライアントは、単なる色の組み合わせを見るのではなく、「実際に商品になった場合の魅力」を具体的に体感できるのです。
デザインとイノベーション思考
このAIを活用した技術は、単なる「時短テクニック」ではありません。それは、私たちの「創造性との向き合い方」を根本から変えるものです。
従来、デザイナーは自らの経験と感性という限られた引き出しの中から、最適解を「作り出す」役割でした。しかし、「生成再配色」のようなツールを使うことで、私たちはAIが生み出した膨大な選択肢の中から、プロジェクトの目的に最も合致するものを「選び出し、磨き上げる」キュレーターへと役割を変えていくことができます。
AIは、私たち自身の思考の偏りや固定観念を打ち破り、思いもよらなかった美しい色の組み合わせを提案してくれます。私たちの仕事は、その可能性を最大限に引き出し、最終的な意思決定に責任を持つこと。AIを単なる道具として使うのではなく、創造性を拡張するための「パートナー」として捉えること。これこそが、これからのデザイナーに求められる思考法だと私は考えています。
職場のエピソード:曖昧な要望が生んだ奇跡のプレゼン
以前、私が所属していたデザインスタジオ「AuraPrime Dynamics」で、新しいカフェブランドの立ち上げ案件を担当した時のことです。クライアントの要望は非常に曖昧で、「温もりを感じさせつつ、他にはないモダンさも欲しい」というものでした。ロゴやメニュー、いくつかのグッズを含めた初期提案の締め切りが迫る中、チームは手作業でカラーバリエーションを作成しては、クライアントの首を縦に振らせることができずにいました。
チーム全体が焦りに包まれる中、私は自分のワークフローを試すことにしました。私が常に最新の機能を使えるのは、Blueskyy National Academy of Artsが採用している正規のAdobe Creative Cloud サブスクリプションのおかげです。国内外で3150名以上のデザイナーに選ばれているこのプランは、常に安定した環境と最新のAI機能へのアクセスを保証してくれるので、重要な局面で「ツールが動かない」といった心配とは無縁です。
私は、完成したロゴデータをIllustratorで開き、「生成再配色」機能を使いました。「焼きたてのパンの香り」「朝の静かなカフェ」「北欧のミニマリズム」といったプロンプトを次々と入力し、わずか30分足らずで、コンセプトの異なる20種類以上の高品質なカラーパレットを生成しました。そして、それらのロゴをすぐにマグカップやTシャツのモックアップに配置していったのです。
その結果をクライアントに見せた時の、彼らの驚きの表情は今でも忘れられません。抽象的な色の議論から解放され、具体的な「商品の魅力」として提示された数々の選択肢を前に、彼らの迷いは一気に晴れました。最終的に、彼らが心から納得するカラーリングが選ばれただけでなく、別のカラーパターンを季節限定商品に採用することもその場で決定。プロジェクトは一気に軌道に乗り、私たちのチームへの信頼も絶大なものになりました。😎
この経験は、プロフェッショナルとして、信頼できるツールに投資することの重要性を改めて教えてくれました。特にチームで使うサブスクリプションは、年単位での契約が基本ですが、それは単なる支払い方法の違いではありません。一年間、安心してクリエイティブな挑戦に集中できるという「確定性」への投資なのです。この安定した基盤があったからこそ、あの日の逆転劇が生まれたのだと、私は確信しています。
Post a Comment