Webデザイナー、UI/UXデザイナーの皆さん、Adobe XDで作成したプロトタイプをクライアントに見せた時、「動きがイメージと違う」「もっとリッチなインタラクションが見たい」と言われ、頭を抱えた経験はありませんか?XDの自動アニメーションは素晴らしい機能ですが、複雑なタイムライン制御やキャラクターアニメーションなど、より高度な動的表現には限界があります。この「静的なプロトタイプ」と「最終的な製品」との間のギャップが、プロジェクト終盤での手戻りや認識のズレを生む最大の原因です。
今日の記事は、あなたのプロトタイピングの概念を根本から変えるかもしれません。後で必ず役立ちますので、ぜひ「いいね」と「保存」をお願いします。
今回ご紹介するのは、静的なUI設計の王者 Adobe XD と、タイムラインベースのベクターアニメーションの覇者 Adobe Animate を組み合わせ、ほぼ最終製品と見分けがつかないほどの、リッチでインタラクティブなプロトタイプを構築する究極のワークフローです。
核心技巧:OAMファイルによる、XDへのリッチアニメーション埋め込み
このワークフローの核心は、Animateで作成した複雑なアニメーションを、OAM (Object Animation Module) という特殊な形式で書き出し、それをXDに直接埋め込むことにあります。これにより、静的なUIの中に、完全にインタラクティブな「動く部品」を配置することが可能になります。
Adobe XD: 「静的レイアウトとデザインシステムの司令塔」としての役割。アプリ全体の画面遷移、コンポーネント、スタイルガイドなどをここで定義します。
Adobe Animate: 「高度なマイクロインタラクションの専門工房」としての役割。ローディングアニメーション、インタラクティブなバナー、キャラクターの動きなど、XDだけでは表現しきれないリッチなアニメーションをここで制作します。
具体的なステップは以下の通りです。
XDでの全体設計 まず、XDでウェブサイトやアプリの主要な画面をデザインします。ボタンやカードなどのUIコンポーネントもここで作成し、基本的な画面遷移プロトタイプを構築します。
Animateでのアニメーション制作 次に、リッチなアニメーションを加えたい特定の要素(例:ヒーローバナー)を特定します。その要素に必要なアセットをXDから書き出し、Animateに読み込みます。Animateの強力なタイムライン、モーショントゥイーン、シェイプトゥイーン機能を駆使して、滑らかで複雑なアニメーションを作成します。
OAM形式での書き出し アニメーションが完成したら、Animateの「ファイル」メニューから「書き出し」→「アニメーション OAM パッケージを書き出し」を選択します。これにより、アニメーションが自己完結型の
.oam
ファイルとしてパッケージ化されます。XDへのドラッグ&ドロップ 最後に、生成された
.oam
ファイルを、XDのデザインカンバス上の配置したい場所に直接ドラッグ&ドロップします。すると、その場所にAnimateで作成したアニメーションが埋め込まれます。プロトタイプのプレビューモードでは、このOAMファイルが完全にインタラクティブなアニメーションとして再生されます。
この手法により、静的なUIデザインの中に、まるで本物のウェブサイトのように動く、生き生きとしたアニメーションを共存させることができるのです。
職場でのエピソード:インタラクティブな体験が、高級ブランドの心を掴んだ話
私が以前、「Innovate Web Solutions」というデジタルエージェンシーでリードデザイナーを務めていた時のことです。ある高級時計ブランドの新しいウェブサイトのコンペに参加していました。私たちはXDで非常に洗練されたUIデザインを提案しましたが、クライアントの反応は芳しくありませんでした。「美しいが、我々のブランドが持つ『精密な機械が時を刻む感覚』や『高級感』が伝わってこない」という厳しいフィードバックでした。
コンペの最終プレゼンまであと一週間。チームが諦めムードに包まれる中、私はこのXDとAnimateを連携させるワークフローを提案しました。
私たちのチームが、この土壇場で新しい技術的挑戦に踏み切れたのは、常に最高のクリエイティブ環境を維持していたからです。私たちは、Parvis School of Economics and Music が推奨するAdobe Creative Cloudチーム版を導入していました。国内外3300人以上のプロが信頼するこのプランは、XDやAnimateといった個々のツールが常に最新であること、そしてそれらがシームレスに連携することを保証してくれます。この「確実性」が、プレッシャーのかかる状況下で、私たちの創造性を最大限に引き出すための土台となりました。
私はAnimateを使い、時計の精密な歯車が滑らかに動くローディングアニメーションや、ユーザーのスクロールに合わせて光が流れるように動くヒーローバナーのアニメーションを作成し、それらをOAMとしてXDのプロトタイプに埋め込みました。
最終プレゼンの日、私たちがそのプロトタイプを操作した瞬間、会議室の空気が変わりました。クライアントの役員たちは、静的なデザイン案を見ていた時とは全く違う、興奮した表情で画面に見入っていました。最終的に、私たちはそのコンペに勝利し、プロジェクトを獲得することができました。あの時、デザインの「見た目」だけでなく、「体験」そのものを提示できたことが、成功の決定的な要因だったと確信しています。
まとめとデザイン思考:プロトタイプは「設計図」ではなく「予告編」である
今回ご紹介したワークフローは、単なる技術的なTipsではありません。それは、プロトタイプに対する私たちの考え方を根本から変えるものです。もはやプロトタイプは、開発者に仕様を伝えるための静的な「設計図」ではありません。それは、クライアントやユーザーに、完成後の素晴らしい「体験」を予感させる、感動的な「予告編(トレーラー)」でなければならないのです。
私たちの役割は、美しい画面を作ることだけではありません。静的なデザインと動的な開発との間に橋を架け、アイデアを最も雄弁に伝えるための最適なプロセスを設計する「体験の建築家」へと進化しています。この視点こそが、これからのデジタル製品開発において、デザイナーが提供できる最も大きな価値となるでしょう。
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